安倍晋三・元首相が奈良市で銃撃されて死亡した事件で、奈良地検は無職の山上徹也容疑者(42)(殺人容疑で送検)について、精神鑑定の結果、刑事責任能力があったと判断した。関係者への取材でわかった。鑑定留置の期限は来年1月10日で、地検は勾留期限の同13日までに殺人罪で起訴する方針。
安倍晋三・元首相が奈良市で銃撃されて死亡した事件で、奈良地検は無職山上徹也容疑者(42)(殺人容疑で送検)について、精神鑑定の結果、刑事責任能力があったと判断した。関係者への取材でわかった。鑑定留置の期限は来年1月10日で、地検は勾留期限の同13日までに殺人罪で起訴する方針。
山上容疑者は2022年7月8日午前11時半頃、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、参院選の街頭演説中だった安倍氏を銃撃したとして、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。安倍氏は失血死し、山上容疑者は同10日、殺人容疑に切り替えて送検された。
山上容疑者は逮捕後の調べで、母親が入信して多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への恨みを供述。
安倍氏を狙った理由を「(同連合と)つながりがあると思った」と説明していた。事件前日にルポライターに送った手紙では、安倍氏について「本来の敵ではない」「最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と記していた。
地検は、裁判で刑事責任能力が争点となる可能性を踏まえ、2022年7月25日から11月29日の4か月間、鑑定留置を実施。
専門医が山上容疑者と面談を重ねて成育歴や事件当時の精神状態などを調べ、地検はその内容について聞き取りを行っていた。その上で、より慎重に判断するため、期間をさらに延長していた。
関係者によると、山上容疑者の精神鑑定で、善悪を判断する能力などに大きな影響を与える精神疾患は認められなかった。山上容疑者が手製の銃を準備し、安倍氏の演説予定を調べて襲撃するなど計画的に行動していた点なども考慮し、刑事責任を問えると判断した。